この作品は1970年のビートルズ解散間際の彼らの活動風景を同名アルバムの
レコーディングとの同時進行によって収録された秀逸のドキュメンタリー映画です。
冒頭から当時すでに崩壊寸前だった彼等の雰囲気が作品の随所に感じられます。
いつもジョンにぴったりと寄り添い離れようとしないヨーコ…
ふたりに対し諦めにも近い冷淡な視線を投げかけるポール…
そんなポールからいきなりギタープレイを罵倒され苛立つジョージ…
もうどうにでもなれと言う感じで黙り込むリンゴ…
その罵倒シーンなどがネックとなりジョージが二次使用を許可しなかったため
本作品は公開以来、ビデオおよびDVD化が実現されることはありませんでした。
そのわだかまりも1994年のセッションで無事に解消されることになりました。
そして、いよいよ2001年に待望のDVDリリース化の予定が決まったその直後、
今度はロンドンに保管されていたオリジナルのフィルムが盗難に遭ってしまい、
その時たまたま偶然に逮捕された窃盗団の盗品の中から発見されたのです。
これを取り戻すため法的時間も必要となり、2003年になってやっとDVD化が実現。
オリジナル公開から実に33年もの年月が過ぎていたのです。もはや一歩間違えば、
それこそ永遠に観ることのできない「幻の作品」になっていたことでしょう。
しかし今になって思い起こすと、あのビートルズも、たったの7年(アマ時代も合わせ9年)
ほどしか一緒に居なかったんですよね。自分の感覚では10年以上はつづいていたような
そんな気がするんです。あの時代の時の流れって今に比べゆっくりだったんでしょうかね。
それはたぶん私が単に年を取っただけなのかもしれません…

